2017年12月18日月曜日

異業種から学ぶ。美容室業界の社員教育とは①~教え方の標準化

働き方改革の中でも、社員教育は大きなテーマです。同じ職人の世界の一つに美容業界がありますが、おそらく皆さんになじみがないであろう「美容室」の実際を紹介します。

美容室業界は、高等学校を卒業、あるいは美容専門学校を卒業し、美容室にアシスタントとして入社します。現場では営業時間中は立ちっぱなし、お昼や休憩時にやっとイスに座ることができるのが当たり前の世界です。美容専門学校を卒業したスタッフは、美容師の国家試験を取得してから入店します。
しかし、国家試験を取得していても、お金をもらえるほどの接客力・技術力はありません。そこで、初めて美容室に入店し、スタイリストに向けたスタートが始まります。

美容室に入店すると、段階的に接客、技術を中心に学び(OJT)、街頭でチラシ配布なども業務の一貫としてあります。美容室は全国に23万店あります。その9割が小規模店(個人店)から構成されています。小規模店では、実際に社員教育なんてものはありません。日々、現場で先輩スタイリストを見ながら学び、営業時間が終了した後に練習を遅くまで行っています。しかも、休日はたいがい平日。その平日の休みをどの様に活かすかが、スタイリストになる道のりを左右することになります。
 入店当時は、掃除、受付、シャンプーから始まり、ワインディング、カラー塗布などを段階的に学んで行きます。全てが出来るようになり、やっとカットに入ります。カットは日々、ウィッグ(人の顔と頭を形どった模型)を用いてカット練習を行います。この段階でお客様のカットに入ると、とんでもないデザインに仕上がったり、耳をシザーで切ってしまったりすることがあります。お客様の頭の大きさや形、くせ毛、毛量、毛質など様々です。また、お客様の求めるデザインも異なります。独り立ちするには約3年程かかります。一人で出来るようになれば楽しい仕事です(次回に続く)